○西粟倉村21世紀森づくり条例
平成13年6月25日条例第18号
西粟倉村21世紀森づくり条例
(目的)
第1条 この条例は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第14条第2項の規定により、他の法令に特別の定めがある場合を除くほか西粟倉村の優れた自然環境、魅力ある景観及び良好な自然環境が村民の貴重な財産であることを認識し森林地域が有する公益性に基づき、安全で住み良い村づくりを推進することを目的とする。
(基本理念)
第2条 西粟倉村は、古来より森林とともに暮らし森林によってその生活を支えてきた村であり木材の生産地としても広く知られており、日本古来の「木の文化」継承の義務を負うものでもあり、一方では森林が本来持っている水資源の確保・国土の保全さらに貴重な動植物の保護育成による自然環境の保護にも寄与するものでなければならない。
(基本施策)
第3条 西粟倉村は、国土保全・水源涵養・自然環境保全の他、木材の供給施策を進め林業経営の安定に努めなければならない。
2 西粟倉村は、概ね5年を目途に国民の需要に応じた適切な林産物の生産計画を立てなければならない。
3 西粟倉村は、国民の健康保持、余暇利用及び国土の保全、水資源の確保など森林の多面的機能の普及啓蒙に務めなければならない。
4 西粟倉村は、専門的知識を有する者の意見を聞いて立木生産地域、自然環境地域、森林と村民等の共生林等森林等それぞれが有する機能の保護育成を図るため、それぞれの地域指定をすることができる。
(定義)
第4条 この条例において、次の各項に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 森林 自然林地、人工造林地、その他草木の繁茂地。
(2) 村民等 西粟倉村に住所を有する者、西粟倉村に滞在する者、西粟倉村を旅行する者。
(3) 立木生産地域 人工造林地で優良木材の生産適地及び生産意欲の高い地区。
(4) 自然環境地域 水源涵養及び国土保全効果が見込まれる地域。
(5) 共生林地 国民の保健休養及び森林学習に適した地域。
(6) 森林所有者等 森林の所有者、森林の地役権者、森林の管理を受託した者。
(7) 流通加工業者 立木の売買、伐採搬出業及び木材の加工及び購買業を行う者。
(8) 事業者 西粟倉村内で事業活動(短期の建設事業を営む者を含む。)を行う者。
(林業経営の安定方策)
第5条 林業の健全な発展に寄与するため西粟倉村は、立木生産地域に対し積極的に林道・作業道等の条件整備を進めるとともに、必要に応じ立木の生産者に対し財政的支援をする等林業経営の安定を図らなければならない。
2 森林所有者等は、国、岡山県、西粟倉村が進める林業施策に取り組み森林の保育管理を効率的に進めなければならない。
(自然環境の保全)
第6条 西粟倉村は、森林が持つ水源涵養機能、大気浄化機能、保健・休養機能等の普及啓蒙に務める一方生活の多様化による消費の拡大を押さえ省エネルギー施策を図らなければならない。
2 村民等及び森林所有者等は、西粟倉村が施行する自然環境の保全、復元施策に協力し環境保護に務めなければならない。
3 西粟倉村は、森林機能の普及啓蒙の他村民等のレクリェーションの場に供するため地域に適した草木の繁茂、小動物及び昆虫類の生殖に適した環境づくりを進める一方、村民等の理解と協力を求め谷川及び河川の清掃等を促し下流域のためにも豊富で良質の清流を確保しなければならない。
(施策の実施計画)
第7条 第5条及び第6条に定める施策の実施に当たっては、西粟倉村総合振興計画及び過疎地域自立促進市町村計画によるもののほか次に掲げる事業を計画する。
1 立木生産地域
(1) 部門別に保育管理モデル地域を選定し適正管理等の指導にあたる。
(2) 間伐材の活用のため開発・研究や木工品の制作販売に努める。
(3) 都市住民に「木」文化伝承のため研究会、現地研修会を開催する。
(4) 保育管理、木材の搬出などを容易にするための施策を重点的に実施する。
(5) 過疎地域における林業従事者確保のため森林管理を行う組織の育成に務める。
2 自然環境地域
(1) 西粟倉村は自然環境の保護を進める地域にあっては公有林、民間林を問わず自然環境への復元施策として樹種の改良、除間伐を推進しなければならない。
(2) 森林所有者等は、西粟倉村が実施する国土の保全及び水資源確保のため自然林の保護施策に積極的に参加しなければならない。
(3) 森林所有者等は、自らが所有し、地役権を有し、又は管理する、森林の保育管理が困難になったときには西粟倉村に対しその保育管理を委任することができる。
3 共生林地域
(1) 西粟倉村は、山間部が保有する自然環境を良好に維持し村民等の保健休養の場として活用出来る環境作りのため樹木の植生改良、研究路の整備等に務めなければならない。
(2) 西粟倉村及び村民等は、村道及び林道の沿線等に余地がある場合は、景観に配慮した植樹を積極的に推進する。
(3) 所有者等及び事業者は、共生林地域内で地形、植生等を改良するときは自然公園法(昭和32年6月1日法律第161号)、森林法(昭和26年6月26日法律第249号)河川法(昭和39年7月10日法律第167号)の定めによるほか事前に西粟倉村へ届け出西粟倉村と協議しなければならない。
(4) 西粟倉村は、吉野川下流域の人たちに広く呼びかけ自然環境と森づくり、森づくりと人との関わり、自然環境と動植物の関わり等についての研修会を定期的に開催する。
(権利の移動)
第8条 西粟倉村は、後継者不在や保育作業が劣悪なため放置されている森林は、積極的に取得し又は、保育管理を所有者等から受託し自然林への復帰を促すものとする。
(組織)
第9条 西粟倉村における「森づくり」に関する重要事項の調査並びに審議するため地方自治法第138条の4第3号の規定に基づき、21世紀森づくり会議(以下「森づくり会議」という。)を置く。
2 森づくり会議は、委員10人以内をもって組織し、次の各号に掲げる者の内から村長が委嘱し、又は任命する。
(1) 西粟倉村内の関係団体を代表する者
(2) 森林に関する識見を有する者
(3) 下流域に居住する者で森づくりに関心を寄せる者
(4) その他村長が必要と認める者
3 委員の任期は2カ年とする。
4 その他必要な事項は、村長が別に定める。
(意見の聴取)
第10条 村長又は、森づくり会議は、この条例の施行に関し必要な範囲において、関係者に対し、必要な事項を会議に出席させ意見を聴取する事が出来る。
(委任)
第11条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
この条例は、平成13年9月1日から施行する。